さよならの十秒前
重い沈黙が流れる。

「…通夜のとき」

西野がぽつりとつぶやいた。

「通夜のとき、坂井さんのお母さんに言われたんだ」

「…何を?」

「一度、お見舞いに来てくれましたよね、ありがとう、って」

自嘲気味に、西野は笑った。

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