臆病なサイモン
けれどもう全て終わったあとで、もうなにも残っていないのに。
『流れ星に願い事を三回唱えたら、叶うんだって…』
はるか彼方の、遠い星屑に、届くならば。
「…もし、叶うなら」
もう一度、会えるなら。
決して永遠を望んだりしないから、だから、その優しい体に抱き着いて、力一杯、ありがとうを伝えて、それで。
「干からびるまで、泣いてみたいけど」
あの暖かな腕に抱き締められて、守られながら、今まで注がれてきた愛を確認したい。
―――でも。
「…私の願い事も、長たらしくって、三回も繰り返せそうにないね」
諦めるように、悲しみが気体になって、洩れる。
そう囁いた横顔だけは、ヒーローのなり損ないだった。
「ずっと言いたかったことを、言えなかったの」
いつでも言えるから今日じゃなくてもいい、なんて甘えて、結局、言えず終いで。
それが一番の後悔の筈なのに、今はもう、そんなことどうだって良かった。
「会いたいな…」
そして言いたい。
「泣かせてしまって」、ごめんね。
私は、「しあわせ」でした。