臆病なサイモン








* * *







パチッ。

自分が瞬いた音で目が覚めた。

布団のすぐ横で、開け放っていた窓から入る風にカーテンが揺れる。




「あ、ち…」

ジリ、と脳みそが霞むような暑さがのし掛かって、全身がダルい。

陽の入りから見て、もう「朝」の時間帯じゃないことを知る。



「タイムイズマネィ……」

ケータイの表示見たら、十時をかなり回ってた。

しまった、完全に寝坊した。

今日はダチンコと市民プールに泳ぎ行くって約束してたのに。

だけど心配すんな、ブラザー。

まだ約束の時間まで五分はある。

チャリかっ飛ばせば五分遅刻るだけで済む。



(とりあえず、メール…)

カッチカチ、ケータイ打ちながら、階段を降りてリビングに出る。

ぐちゃぐちゃに寝癖付いたキンパツが視界の端に映ってウザイ。









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