臆病なサイモン









ダチに。

『俺、オマエに謝らなきゃいけないことがある。ごめんちょ』

て、メール送ったら。

『ごふんでこい』

て返ってきた。

「ごふん」を変換しない辺りがなんかもうチョー二十一世紀少年てカンジ。



ピロリロリン。


『ごふんすぎたらみんなのマックはらえよ』

はい、死刑宣告。

もしそうなってみろ。
夏休みの軍資金がゼロになる。

サイモンがんばるしかねぇよな。


ダッシュで着替えて水着の入ったビニルのショップバッグ片手に階段を二段すかしで駆け降りた。

とにかくチャリンコかっ飛ばして、せめてシェイクのみで勘弁してもらうしかない。

必死にチャリ漕ぎとかカッコ悪いし汗掻くしサイアク、なんて考えて最後の一段を飛ばした。






「…サイモン、行くのか?」


瞬間、「父親」に止められた。


「…うぉ、っ」

急に目の前に黒髪が現れて、ひくりと息がとまった。

最近、まともに見ていなかったその顔が、なんか、すげえ近くて。







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