臆病なサイモン






俺に避けられてるって知ってるくせに、いつも、気ぃ遣いながら話し掛けてきたりして。

その度になんかうざったくて、苦しくて、申し訳なくて。

俺のキンパツで、散々傷付いてきた「この人」に、今更、なにを言えってんだよ。

なにを言えば、どう向き合えば、一歩踏み出せるんだろう。



『…だってまだ、なにもしてないでしょう』

だってもなにも、本当に、なにしていいかわかんねーもん、俺。



「あ、の」

でも今は、とにかく、謝らなきゃ。

あんな顔させたかったわけじゃない。

ずっと「そこ」から逃げてきたけど、でも、そんな風に傷付けたくて逃げてたわけじゃないんだ。



ドク、と心臓が跳ねた。




―――謝らな、きゃ。





「ご、」




ピロリロリーン。




「………」



まさか、人生最大の決意を。



『ピロシキキッキーンタムー!これ新曲!』


ていう、ダチンコからの意味不なメールに邪魔されるなんて、思ってもみなかった。



『バッドタイミング・サイモン…』


今日から、始まります。


みんな!見てくれよな!



…ルールールルルルルールー(主題歌)。











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