臆病なサイモン









キンパツで生を受けてから、世の中はマジでシビアなんだとずっと心の中で唱えてきた。


いつなにが起きて、臆病な俺が傷付けられても、そんなもんだよな、って諦められるように。

でも、世界って、俺が見てきた以上に、優しいもんなのかもしれない。






「……例え、サイモンが「オトウサン」と呼べなかったとしても、きっとなにも変わらないんだよ」


少しだけ涙が治まった頃、穏やかに吐き出されたダンゴの言葉は、ちょっとだけ不可解だった。



「…?」

その言葉の真意が掴めなくて、涙を浮かべたまま視線を上げたら―――パチン。

ビー玉が弾ける。



…赤い実弾けた。


わけじゃないぜ、ブラザー。




「君が今の君のまま変わらないなら、君以外のすべてもなにも変わらない」


君がそれでやっていけるなら、そのままで居れば、いいけど。


それは投げやりな言葉じゃないと、俺は確信してた。

これはきっと、最期の試練。







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