臆病なサイモン
「はいはい、みなさん、体育館に移動しましょうね」
教壇に立つセンセーが俺達を見渡す。
今からあるのは、全校集会。
まあ要するに、コウチョーセンセや生活指導が自分のセンスでセレクトした有難いお話ってやつを披露するから、みんなマジメに聞いとこうぜ、って集まり。
去年建て直した体育館は、教室よりずっと面積でかいし涼しいから長話も苦じゃないだろ、なんて。
「あーコウチョの話、今日も地球温暖化についてじゃね?」
「飽きたっつの。たまには自分のハゲについて熱く語ってみやがれってハナシだよな」
…ま、こういう意見も少なくはないわな。
そんなもんさブラザー。
だって俺ら、そういうちまいことに反抗するしか出来ないガキンチョだからさ。
「ねー進まなくない?」
「ちょっと男子ぃ。喋ってないで先行ってよね」
知らない女子達が不機嫌そうにしてる。
他クラスのやつらの移動と被ったぽくて、渡り廊下は爽やかな夏服でごった返してた。
俺のひょろっとした身長とキンパツは目印らしく、俺の周りには見慣れたクラスメイト達が固まってる。