臆病なサイモン









『サイモンなら、大丈夫だよ』

…でも、俺、嫌われたくない。

俺、ほんとに、ダンゴと、ダチになりたいんだ。



「…ごめん!」

無我夢中で、ダンゴの目の前に立つ。

ホンダなんかもう、既に眼中になかったし、周りのやつらの視線も、気にならなかった。

だって今は、俺は、ダンゴと―――。




「なんで謝るの」


そうだよ。

何回謝れば気が済むんだ、って話でさ……、え?




「なんで、謝るの」


バカなサイモン。

俯いていた俺の頭を、ダンゴはバシッと叩いてきた。

それは俺がホンダにやらかした暴力とは全く別の、ダチンコ特有のスキンシップ、って感じで。



―――照れる。


赤い顔を上げたくはなかったけれど、ダンゴが促すように髪を撫でたから、上げるしかねーよ、な。





「…アリガト、」



それは、なにに対してのアリガトなのか、俺には解らなかったけれど。

中傷が書かれた黒板を背に、ダンゴがふやけた顔で笑ってたから、…まぁ、いいってことに、する。


その眉尻に涙が溜まってたことだけは、見なかったことに、しちゃったけど。










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