臆病なサイモン
「…だから?」
まさに冷静なお言葉、とはこのことだ。
入道雲が一座二座、それ以上が浮かぶ晴天の下。
馴染みの屋上。
ダンゴは相変わらず無表情を浮かべたまんま、今日はガリガリくんをかじってらっしゃいます。
あ、買ってきたの、俺ね。
(…まさか、「だから?」の一言で片付けられるとは予想ガーイ)
俺の痛い思い出を痛い覚悟で話したってのに、なにこの反応。イタすぎる。
「…だから?」
あまりの単純明快な言葉に困惑した俺。
たった今、全く同じ言葉を発したダンゴに、全く同じ言葉で返してしまった。
貧困なボキャブラリーが目に見えちまうじゃんかよ。
「……だから?」
そして魔のループ。
ダンゴは不可解だと言わんばかりに眉を寄せて俺を睨み付けてきた。
「え、だから?」
まさかまたもその単語で攻められるとは思ってなかった俺。
またも同じ言葉でダンゴに聞き返してしまった。
俺のオウム返しに苛立ったダンゴが、歯を立てていたガリガリくんを衝動のまま噛み砕く。
水色の欠片がバラバラと夏服のプリーツスカートに落ちた。
あ、染みる…。