臆病なサイモン








* * *






「あんまぎをゆっとうったくっぞ」


ポキッ。

いきなり飛び出した宇宙語にびっくりしてシャーペンの芯が折れた。

屋上のコンクリに広げられた数学のノートが風に飛ばされてパラパラとページを飛ばす。

ついでにポカンと間抜け面晒す俺のキンパツもパラパラと揺らした。



「…あんまり文句ばっかり言ってると殴りますよ」

て、意味。

目の前で数学の教科書開いてるダンゴが無表情のままそう口にした。

冒頭、セリフについての解説。

多分、俺が地球滅亡を前にした時くらい呆然としてたから。

…ごめん言い過ぎた。

地球滅亡はウソ。

せいぜい、テストで赤点とっちゃった時くらいの衝撃だった。

だってなに言ってっかわかんねーもん!なに今の!いつもいつもチマチマ方言口にしやがって!イカすっつの!


「どこがなにでどこがなに?」

どの単語がなにを指してどの動詞がなんなのかすらわかんね。

俺のそんな呟きに、ダンゴは不可解だと言わんばかりに首を傾げて眉を顰めた。

相変わらず目付きわりぃ。


「…サイモンは、時々言ってる言葉の意味が解らない」


そりゃ俺のセリフですヨ。





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