臆病なサイモン







さやさやと隔たりなく風が吹くのはここが屋上だから。

で、その屋上で俺らがなにしてるかって?


…ぷぷ、驚くなよブラザー。



「…だから、xが8って解ってるんだから、じゃあyはなんなのってだけの話でしょ」

スタディ。

スタディて、素晴らしいよな。

なにが素晴らしいって、スタディってる俺とダンゴが素晴らしいんだよ。


「だってなんで8ってわかんの?」
「さっき計算したでしょうが!」

しょうが?

ダンゴがイライラしてる。
さっきから似たような問答ばっかしてるから。

因みに俺、数学チョー苦手。

あ、そんなん知ってるって?
追試受けてたもんな、って?

シャラップ、ブラザー!

黙っといてくれよ。
サイモンからのお願い。



で、もうすぐ夏休みなワケ。

楽しい楽しい夏休みに突入する前には「期末テスト」とかいう地獄の一大テストがあるワケ。

学校滅亡しろって呪文言っちゃうような日々が来ちゃうワケさ。

まあそれ以前に俺ら受験生なんだけどさ。


「…もういい。疲れた。やだ、数学なんて俺には必要ない」

さっきから8やら5やらxでyがどーたらこーたらタンジェントー!みたいな。




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