リベンジコレクション
あつし君の隣に立つ自分の見た目である。

読者モデルをしているあつし君は、当然イケメンで、贅肉など己を甘やかした痕跡は一切なく、背も高い。

対する私はと言えば、薄すぎるメイクに野暮ったい眼鏡をかけ、伸ばしっぱなしの髪を一つに結んだ見事な地味女である。

そして私の最大のコンプレックスが、身長だ。

170センチメートル。

相手によっては見下ろすことも多々あるこの長身のせいで、恋愛事にはほぼ縁がなかった。

もちろん世の中には、私より高身長でも彼氏を捕まえた女子がいるだろう。

だが高身長ゆえに自然と猫背になり、サイズの合う服が見つからないからとボーイッシュな格好になりがちな私に、恋愛沙汰が起こるはずもない。

そんな私の前に身長179センチメートルのあつし君が現れ、私は一気に恋愛モードへと切り替わった。

生まれて初めて、このひとにつり合うような、綺麗な女になりたいと思ったのだ。

パンツスタイルからスカートに。

Tシャツからレースやビーズがついたチュニックに。

眼鏡を外してコンタクトに。

髪は明るく染めてパーマをかけ、メイクだってネットで勉強して自分なりに頑張った。

なのに。

それなのに。

あつし君はちっとも褒めてくれなくて。

二人で行くデートはいつもあつし君の買いたいものを見に行った。

気に入られたくて、私はあつし君の欲しがるものをプレゼントする。

毎回がそのパターンだった。
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