リベンジコレクション
この時点で気づけばいいのに、バカな私は、あつし君にもっと気に入られたくて、自分なりにプレゼントを選んで渡すようになったのだ。

最初は変な顔をしたあつし君も、それがお気に入りのブランドの商品だと気づいた瞬間、物凄く喜んでくれた。

私はそれが嬉しくて、プレゼント選びにもますます力が入ってしまう。

けれど、あつし君は自身が好むブランドや、雑誌に載っているような商品は喜んで受け取ってくれるのに、私が自分で選んだプレゼントには微妙な表情を浮かべる。

なにが違うのだろう。

どこがダメなんだろう。

私は自分自身が否定されたような気持ちになり、毎回自分なりに選んで、これだというものを渡してきた。

受け取るあつし君の表情は、だんだんと無表情になっていき、すでに私に笑顔を見せてくれることすらなくなっていた。

そして、一年が過ぎた今日、以前のような関係に戻りたいと焦る私を嘲笑うかのように、あっさりと切り捨てられたのだ。

「なんで、こうなるかな……」

 じんわりと目元が熱くなり、涙が滲む。

必死に尽くしてきた一年間だった。

このままじゃダメだと分かっていても、私は確かにあつし君が好きだったのだ。

今思えば、最初に食事に誘われた瞬間から、私は彼が欲しがるものを買い与える都合のいい女になれるかどうかを図られていたのだろう。

最初のデートでは奢ってくれたが、会話の内容はあつし君の仕事である読者モデルの話から、次第に好きなブランドの話へと傾いていった。
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