月と太陽の事件簿7/ブラームスの小径(こみち)
平凡だった男
皆さんは『ブラームスの小径(こみち)』という地名をご存じだろうか。

原宿駅から徒歩で3分ほどのとこにある路地の名前だ。

喧騒に満ちた竹下通りとは違い、クラシカルな店が並ぶ静かな通り。

そこがブラームスの小径(こみち)。

あたし日野麗実は捜査一課資料室でパソコンのキーを叩いた。

検索の結果『ブラームスの小径』でヒットした件数は約3000件。

こんな不思議な地名でもネットで検索すれば結構な数がヒットする。

それはやはり実在しているからだろう。

あたしはキーボードの横に置いておいたFAXを手にとる。

今朝A県警から送られてきたそれにはこんな文章が記されていた。

『公園を出て

ワニの谷を目指せ

そこを抜けたら

しんたの家を右

男の道をまっすぐ進め

謎の屋敷の上にある』

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