月と太陽の事件簿7/ブラームスの小径(こみち)
ワニの谷、しんたの家、男の道、謎の屋敷…。

あたしはそれぞれを検索してみたが結果は芳しくなかった。

当然だろう。

ブラームスの小径と違い実在しない(であろう)地名ばかりなのだから。

長時間パソコンとにらめっこして頭が痛くなってきたあたしは、画面から目を離し、こめかみを揉んだ。

目下のあたしの任務はこれらの地名を探し出し、「謎の屋敷の上にある」という現金300万円を見つけることだった。

順をおって話そう。

A県B市に松村武という男がいる。

いや今となってはいたという方が正しいだろう。

松村武は一週間前にこの世を去っていた。

51歳という若さだった。

亡くなるさらに半年前、松村は強盗の容疑で逮捕されていた。

B市にあるパチンコ店が売上金を運ぶ日を調べあげて襲撃。

警備員と従業員に催涙スプレーを浴びせて売上金の300万円を強奪したのである。

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