moment

2人の出会い。

「あ…えーと…へ、部屋探してるんでしょ?今、僕もこの物件いいなって思って…。2部屋あるし、家賃もほら、半分にしたらだいぶ安いし!…えーと…あの…ごめん…別に怪しいものじゃなくて…その…。」

「…まだ何も言ってないけど」

「あ…えと…ごめん…」

「なんで謝るの?やましい事でも考えてるから?」

「やましい事って…?」

彼の顔は変わらなかった。むしろ、キョトンとしているような。

「同年代くらいの女の子に、おいしい話持ちかけて、その後ぶち込んじゃえばこっちのモンだとか思ってるんでしょ?冗談じゃないわっ!!」

「…ぶ、ぶち込むって…ちょ!女の子がそんな事言っちゃダメ!!!!」

彼は顔を真っ赤にして怒鳴るように言った。

「…それに僕、オモセッスアーレなんだ」

「……」


そう言ったユキヒコの顔は一生忘れない。




穏やかな、それでいて寂しい顔。



そう思った。
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