さうす・りばてぃー
 そして、22日に無事期末試験が終わり、翌23日。

 俺は、朝っぱらから、見由と穂波の訪問を受けた。

 寝たときのトレーナー姿のままドアを開け、二人に会う。

「なんだよ、朝早くから」

「もう二時なんですけど」

 冷めた顔で言ってくる見由。

 時計を見ると、確かに午後二時だ。

「寝たのは十二時だったような気がするが」

「二時間しか寝てないんですか?」

「いや、十四時間」

 呆れ顔の見由と穂波を玄関に待たせておき、俺は着替えに入った。

 ――――十五分後、俺は二人とともに大通りを歩いていた。

「結局、誰が参加するんですか?」
 見由が聞いてくる。

 彼女は手袋をして、毛糸の帽子までかぶっている。完全防寒の構えだ。

 にもかかわらず、なぜか下はスカート。足は寒くないのだろうか?

「確実なのは、ここの三人だけ。星空には、一応声はかけてある。来るかどうかは明日次第だな」

 ちなみに、達也にはパーティーの存在自体まだ知らせていない。

 やつが事前に知ってしまうと、意味がないからだ。

 知たちにも緘口令をしいてあるので、たぶんもれてはいないと思う。

 で、今日はそのパーティーの買出しである。

 明日は終業式で、そんなに時間をかけられないだろうから、テスト休みの今日が選ばれたのだ。

「うまくいくかなあ、あの二人」
 穂波が言った。

 彼女はクリーム色のコートを着て、下はストレッチストレートのパンツにこげ茶色のブーツと、標準的な服装をしている。

 長い髪は、そのまま冬の風に吹かれている。

「さあなあ。問題は、達也が星空の気持ちにまったく気づいていない疑いが強いということだ」

「そうなの?」

「たぶんな。あいつ鈍感だし」

「じゃあ、ゆうくんと一緒だね」

「…………」

 楽しそうに言う穂波に対し、俺は一言の反論もできなかった。

 この女は、俺をからかうのが趣味なんだろうか。

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