さうす・りばてぃー
 コテージを出て、女子のほうに向かう。

 そこは歩いて一分ほどの場所に建っていた。

 周りでは、気の早い虫がもう鳴き始めている。
 
 コテージの入り口を、達也がコンコンとノックする。

「ちわー」

 少しするとドアが開き、穂波が顔を出した。

「あ、ちょうど今そっちに行こうと思ってたの」

「とりあえず腹減ったし、飯にしようぜ」
 達也が言った。

 特に反対意見もなく、俺たちは貸しコテージの管理所に行き、予約しておいた夕食の材料をもらってきた。

 今日の夕食はバーベキューだ。俺たちは早速広場に行き、準備を始める。
 
 台はすでに用意されているので、あとはその上に鉄板をおき、借りてきたガスボンベを使って焼くだけだ。

 材料も、宿の人たちの手によって切り分けられている。
 
 俺たちは片っ端から、肉や野菜を鉄板の上に載せていった。

 ジューッと音がして、どんどん肉が焼けていく。

 一日歩き回っていたので、腹もすいている。

 きわめて簡単で、原始的なその料理に、俺たちは舌鼓を打った。
 
 やがて、材料は一つ残らず俺たちの胃袋の中に納まった。

 満腹だ。

 達也が少し足りなさそうだったが、それ以外は充分満足だという顔をしていた。
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