さうす・りばてぃー
 その後俺は、荷物が重くなったこともあり、どんどん体力を消耗していった。

 ただ、そのコースは登山というよりはハイキングに近いものがあったので、完全な体力切れ状態を露呈することだけは防ぐことができた。

 夕方すぎには、宿についた。

 そこには10ほどのコテージが分かれて建っていた。

 俺たちは、とりあえず男女別にそれぞれのコテージに入る。

「よお、遅かったな」
 コテージには、もう知が来ていた。

 Tシャツに短パンという楽そうな姿で、コテージ内で涼んでいる。

 対照的に俺はかなり汗だくだった。

 その後、コテージについているシャワーで汗を流し、一服していると、だんだん暗くなってきていた。

 時間は六時過ぎ。これから出かけるというのは、無理そうだ。

 さらに携帯を見たが、圏外だ。電話では連絡が取れない。

「よし、行くか」
 達也が言うと、知が聞いた。

「どこへ?」

「バカなこと聞くなよ。女子のコテージに決まってるだろ」

「夜這いか?」

「祐介じゃあるまいし」

 たまに思うが、なぜ達也と知のやり取りの中に、いつも俺の名前が出てくるのだろう。

 それも名前が出るときは悪いことばかりだ。
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