さうす・りばてぃー
 コテージの外では、また一段と風が強くなっていた。

 雨もぱらつき始めてきたようだ。

 コテージ内では、三人とも同じような姿勢でテレビを見ている。

 ときどき、俺たちはテレビを見ながら、その番組に突っ込みを入れていた。
 
 こんなふうにのんびりと夏休みを過ごすのも悪くない。去年の今頃は、大騒ぎだったから。

 あれから、もう一年になる。

 早いものだ――――そんな風に俺が空想に浸っていると、達也がその空想を破ってきた。

「みんな、遅いな」

 その声に、俺はコテージ内にかかっている掛け時計を見た。

 八時十分。もう約束の時間を十分過ぎている。

「まあ、そう慌てるなって。時間は充分あるんだ。のんびり行こうぜ」
 知が言った。

 俺たちはまたテレビに没頭する。

 しかし、それから二十分経っても、彼女たちはやってこなかった。

「さすがに遅いな」
 知までがそう言う。

「全員寝てるんじゃないか」

「しゃあねえ、起こしにいってやるか」

 電話はコテージごとには備え付けられていないし、携帯も電波が通じないので、直接行くしかない。

 俺たちは、ベッドから重い腰を上げ、彼女たちのコテージへと向かった。

 雨が降っているので、コテージに備え付けのビニール傘を拝借する。

「案外、ナンパされて、別のコテージに行ってたりしてな」
 三人でその冗談を笑い飛ばす。


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