君に許しのキスを
妃奈ちゃんは、泣きそうな瞳であたしを見た。

何か言いたい様子だった。



それでもあたしは何も聞かずに、言いたいだけ言ったら、妃奈ちゃんの家を飛び出した。




この2日間、どんなに携帯が鳴っても、あたしは絶対にとらなかった。
何通も来ていたメールにも、返信しなかった。



今日の学校でも、クラスが違うから、意識的に会わないようにすれば、顔を見ることすらなかった。


放課後も、そのまま一人で帰るつもりだった。

そそくさと帰り支度を済ませ、妃奈ちゃんが来ないうちに教室を出て、校門に向かった。



なのに、そこにあの人が現れたのだ。
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