君に許しのキスを
彼がそう言うのとほぼ同時に、向かいの道を手を繋いだ一組の男女が通り過ぎていくのが目に入った。


それを見て、あたしの中で何かが弾けたように、思いが言葉になって出てきた。


「あたし、今まで付き合うとか、考えたことなかったの。
あたし自身が誰かと、ってのはもちろんなんだけど。
何て言うか、もっとこう、世の中全般的に?
男と女が付き合う…なんて、ないと思ってた。
女子高って環境もあるのかもしれない。
もちろん、彼氏がいる子もいるみたいけど、全然、リアルじゃなくて。」
< 148 / 301 >

この作品をシェア

pagetop