君に許しのキスを
「他の動物が、正しくない行いをしたら、追放されて、後は“死”あるのみじゃん。
だけど、人間は少しくらい正しくなくても、生きていくことは出来る。
それはさ、他の人間と心を通わせて、繋がりあえるからなんじゃないかな。
家族、友達…それから恋人。
そうして心を通わせて、正しく、強くあろうとしてるんだと、俺は、思う。」



「自分勝手な理屈…。
意味わかんないし。」

彼女は小さな声で、そう切り捨てた。

俺はそれに、小さく吹き出した。


「…あなたにも、恋人がいるんですか?」

思いついたように、彼女は突然こちらに振り向いて聞いてきた。
多分初めて、俺の顔をはっきりと見据えている。
俺自身も多分初めて、彼女の顔をはっきりと捉えた。


「うん、…いた、だけど。
大好きだった。」
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