君に許しのキスを

―side周

早く、彼女の元へ行かなければ。


もちろん、他の生徒や職員に見られてはいけない。



そんな葛藤と焦りのなかで、仕事を進める。



彼女はきっと今頃、自らの罪に押し潰されそうになっている。

そしてそれと闘っている。
強く、強く。



俺はそばにいるだけで、何も出来ない。
けれど、それでも、そばにいたいのだ。

あの時、俺はあいつに何もしてやれず、ただ逃げたから。
今度は、少しでも力になってやりたい。
もしも彼女が俺にそばにいてほしいと望んでいるなら、1分でも、1秒でも長く、彼女のそばにいてやりたい。
いや、それよりも、俺が彼女のそばに居たいんだ。
彼女の支えになりたい。



自分の気持ちを言葉にして認めた途端、ここまで彼女のことで頭がいっぱいになるとは、我ながら恐ろしい。
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