君に許しのキスを
そんな言葉が、口からこぼれた。



「うん。」


隣から、力強い声がした。



そちらを覗き込むと、その人は力強い瞳で、どこか遠くを見ていた。


どうすれば強くなれるか、彼は知っているように思えた。

そんな瞳だと、あたしには思えた。



それを見ていて、気付いた。

あたしが彼に対して、嫌悪感を抱いていないこと。

むしろ、彼が隣にいることに、安心感すら覚えていること。
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