君に許しのキスを
俺と洋平は、お互いのことにあまり干渉しないし、積極的に自分のことを報告することもない。
それは恋愛ごとに関しても、だ。

ただ、何となく、洋平に普通に恋人がいたであろうとは思っていた。
そして、あの事件後、上手くいっていないだろう、とも。

それから前回の、沓宮に会いに行くというメールを見た時にも感じた。
もしたかしたら彼女に、特別な思いを抱いているのかもしれない、と。



だが、そんな洋平が、「誰かを好きだ」などと、俺にわざわざ電話してくるなんて。
その相手が誰だろうと、にわかには信じがたい。

それが、あの沓宮であるなら、なおのことだ。

「一応、周には言わないとと思って。
それで今日、あの子たちに会って、言ったんだ。」
< 191 / 301 >

この作品をシェア

pagetop