君に許しのキスを
洋平は即座に顔を上げ、生気のない表情で俺を見る。
また顔を伏せ、短く息を吐くと、再び顔を上げ、言った。


「俺から話す。」


その瞳には、強い決意が宿っていた。
そうだ。
これは、洋平が乗り越えなければならない試練なのだろう。
俺は小さく頷いた。


「俺には兄がいる。
元々は、兄貴と周が高校からの友達だった。
その兄貴は…今、刑務所にいる。
罪名は、強姦罪だ。」
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