君に許しのキスを
言って初めて、
酷いことを言った、かも、と思った。

けれど、もう遅かった。



凜は大きな瞳を丸く見開かせ、そのまま固まっていた。


あたしはその空気に堪えられず、保健室を飛び出した。



それ以降、
凜は保健室登校は続けたものの、
あたしが保健室に行っても、笑ってくれなくなった。

それどころか、何と話しかけても、全くの無反応だった。

まさしく、心ここにあらず、
という感じだった。


保健室の先生や凜のお母さんの話では、
凜は常に、誰に対しても、この状態なのだそうだ。


あたしのせいだ、と思った。
あたしが、凜から笑顔を奪ってしまった。


そんな状態の凜に、謝ることすら叶わず、
ただ時だけが過ぎていった。



そして凜が教室に戻ることのないまま、
あたしたちは中学を卒業した。
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