君に許しのキスを
そこにいた全員が、一斉に周を見た。
周はバツが悪そうに笑った。

「俺が犯した、罪。」

そう言うと、周は沓宮さんの方を見て、また口を開いた。


「もし、何も話したくなくて、ここから出ていくのも嫌ならさ、俺の話を聞いてくれるか?」

続けて俺に視線を移して言う。

「洋平にも、いつか言わなきゃいけないと思っていたんだ。
聞いてくれるか?
俺がお前の兄貴を裏切ったこと。」


周のその真摯な瞳に、俺はただ頷くしか出来なかった。
しかし頭の中は疑問で溢れていた。



周が兄貴を裏切った?
そんなはずはない。
あの事件の後、犯罪者の家族となった俺達家族を
一番気にかけてくれたのは、周だ。
今だって、高校時代の友達の弟ってだけの俺をいつも気遣ってくれている。


そんな周が。
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