君に許しのキスを
嫌だ。

今度は、彼女は、失いたくない。
手放したくない。

けれどそれは、彼女を傷つけることかもしれない。

だけどもう二度とあの時と同じ思いはしたくない。

ふたつの思いの間で、動けなくなりそうだ。
結局、俺一人で考えていても、ラチがあかないのだろう。


もう一度、彼女に会って話をしよう。
今日は、俺も彼女も気持ちが落ち着いていないから無理にしても。
その時彼女から拒否されたら、それはそれで良い。
このままよりも、余程マシだ。


何度考えようと、俺は彼女を愛している。
それが今、ただひとつ明白な俺の気持ちだ。


そんな押さえきれない思いを胸に、翌日俺は彼女の元へ向かった。
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