君に許しのキスを

―side洋平

あの告白から、1ヶ月が過ぎて、俺はまだ、彼女が俺を見る瞳に慣れない。

凜はいつも、まっすぐに俺を見つめる。
その瞳の奥に、俺への恐れや引け目なんかが隠れていないか、つい探ってしまうのだ。
そんなもの、あるはずがないのに。


それでも俺は、あれから彼女の手を握ることも出来ない。
頭を撫でてやるのが精一杯だ。

触れてしまえば、彼女が、彼女の心が壊れてしまうような気がして、怖いのだ。



そのくせ俺と彼女は恋人同士だと示したくて、休みを利用しては様々な場所に出かけた。



「すいぞくかん。」

凜がそんなことを言ったのは、そんなある日のデート中のことだった。
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