君に許しのキスを
村西さんは顔を上げ、俺の目を見た。
睨みつけた、と言った方が的確かもしれない瞳で。


「けど、あたしには、凜が、あなたに傷つけられた、って恨んだり、後悔したりしてるとは、思えないんです。」


尚も必死に語りかけてくる。
まるで、自分のことのように。

「凜は、あなたを愛してる。
誰よりも。
自分のことよりも。
そして、あたしのことを大切に思ってくれてた。
周のことも。
確実にそうだったと、あたしは思います。
凜を、信じてください。」
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