君に許しのキスを
「何でだめなんですか?
彼女いるんですか?」


こういうしつこいのは、俺にはもう、邪魔な人間だ。

とりあえず
「彼女がいる。君は生徒だし、タイプでもない。無理だ。」
とバッサリ切ってみた。

そしたら、瞳に涙を浮かべて走り去ってしまった。
ああいうのが、俺の悪い噂とか流しちゃったりするのだろうか。
まあその程度では、俺の立場が揺らぐことはないだろう。
もしかしたら、上から軽く注意は受けるかもしれないけど、俺に落ち度はない。

そう思ってポケットからタバコを取り出した。

俺は、学校中の教師・生徒から信頼を置かれている。
そういう『教師』を演じてきたのだから、当然だろう。

例えばこれを、あの子のせいにするのは簡単だ。
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