君に許しのキスを
1年前から先週まで、振り返ってみると我ながらやさぐれていたな、と思う。

大学も休学して、楽しくもないバイトに明け暮れて、大して親しくもない奴らと飲んだくれて。

そうやって過ごしたって、別に楽しくも面白くもなかった。
だが、そうせずにはいられなかった。



別に、麻衣美のせいじゃない。

ただ、必死に生きることも、誰かを愛することも、すべてが無意味に思えるようになったのだ。

何もかもが。

きっと、俺は何も求めてはいけないのだ、と。
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