君に許しのキスを
第8章─始まり─

─side周

洋平から電話があった。

『西口と東口、どっちっすか』と。


「そんなもん、最初に確認しろ。」
といってから、
「西口。」
と教え電話を切った。


携帯をスーツのジャケットにしまいながら、改札のすぐ横の壁に寄りかかる。

家路を急ぐサラリーマン、これから遊びに出かけるガキ、色々な人が行き交うのを見ると、ふと小さなため息が出た。


こんだけ人がいて、俺は今、何やってんだろう。

無難に、波風立てずに、生きていくはずだ。

それはきっと、いや、絶対的に正しい。
誰がどう言おうと。


それを揺るがすようなことは、絶対にしない。
あってはならないはずなのに。
< 70 / 301 >

この作品をシェア

pagetop