君に許しのキスを
目をそらした先に、何かを見つけたのだろう。

一瞬だが、ぴたりと動きが止まった。




すぐに視線を戻し、何もなかったように再び俺に近況を聞いてくる。



最初は気がつかなかった。

誰かを見ている、なんて。

その視線の先に誰がいるか、なんて。

その誰かが彼にとってどんな存在か、なんてことも。



しかし、周は視線をそらすたびに必ず同じほうをみるのだ。




それに、幾度目かでようやく気付いた俺は、周に気づかれないように、その方向に目をやった。





女、だ。


2人組の、しかもかなり若い。

中学生か、高校生くらい。


ああ、そういうことか。


生徒、だろうか?
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