潔癖彼女ノ憂鬱
―その頃、体育館では入学式が始まっていた。

男、男、男…
見渡す限り、男。

 女の子もちらほらいる感じだが、式が始まると、季夜は男の子達に囲まれていた。

 杏子とは離れ離れになり、とても落ち込んだ。

 隣の人と肩が触れない様にするのが精一杯で、学園長や理事長の有難いお言葉も右から左へと流れ、とても落ち着かない状況が続いていた。

せめてもの救いが、周りが体育会系の人達ではなかったこと。

 不潔な薫りはしない。寧ろ、爽やかな薫りだ。
 でも、慣れない環境に人酔いし、目眩がしてきた。



(…早く、終わって)


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