週末の人魚
夕焼けの町
一緒に暮らし始めてから8ヶ月が経った。
お互い、夢を求めて東京に出てきた同士で
カメラマンとスタイリストと夢は違うけど、
共に挫折した同士。
郊外のこの町のアルバイト先で出会い、暮らし始めた。
築30年の古いアパートが二人の城。
城はこの商店街を抜けたところだ。
あいつの好きなクリームコロッケでも買っていってやろう。
愛想の良いおばちゃんの店でしばし立ち話。
ほかほかのクリームコロッケを持って城の階段を上った。
錆が所々出た鉄のドアを開けると、いい匂いがしてきた。
お帰り、
彼女は夕飯を作っていた。
ただいま、
クリームコロッケを手渡した。
ありがと!お風呂入っちゃって、
炊飯器の湯気の向こうの彼女はキャベツのスープを作っていた。
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