*Lover's Re Mode*
はじまり
私は夢を見ていた。

とても不思議な夢だった。

夢には感覚が無いものだと思っていたのに、背中に感じる温かさや、拘束されてるみたいに動かない体。更には人の息遣いまでリアルに聴こえてくる。

目線の先には、男の人の逞しい腕が伸びていて、腰にも逞しい腕が巻き付いている。どうやら彼氏に腕枕をされている設定らしい。

現実には絶対あり得ない事なのに、ドキドキと高鳴る胸の鼓動。

人の体温って、こんなに心地いいんだ…

まるで疑似体験をしているかの様な感覚だった。

日頃の妄想が夢にまで。

そんな自分に呆れてしまいつつ、いつかは覚めてしまうだろう夢に、ちょっと残念だと思ってしまった。


それなのに。




―…夢はいつまで経っても覚めてくれなかった。
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