*Lover's Re Mode*

秘められた儀式

「ねぇ、俺の女を早く解放してくれない?」

不意に聞こえた、お嬢様達の談笑で華やぐカフェテリアで、何故か殿方の声。

しかも、その声は聞き覚えがある。

『俺の女』などと俺様口調は紛れもなく奴の声だ。

どうして、ここが…

「まあ、ルイ様。よく、ここがお分かりになりましたね?」

私の後ろに立った悪魔に、水無月お姉様が立ち上がり、優雅にお辞儀をする。

「琴葉。叶依を連れていくなら俺の許可を取れよ」

奴が女性を名前で呼ぶのを初めてみた。

いや、互いに名前で呼びあってる。親しい仲なのだろうか。

「帰るぞ」

他のお姉様方には目もくれず、私の腕を掴みあげると、席を立たせた。

更に流れる様な動作で、左腕を私の腰に巻き付けると密着するまで引き寄せ歩きだす。

「叶依様。また会いに伺いますわ。ルイ様。叶依様に無茶をしないで下さいね?」

立ち去る私達の背中に投げた言葉はとても楽しそうな声だった。
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