魑魅魍魎の菊



頭がパニックに陥って、何がなんだが理解出来なかった。





先ほどの美少女が何故、"大蛇"になっているんだよ?!龍星の体はその蛇の尾に締め上げられ、骨がミシミシという音が耳に聞こえる。



「あ、あ"ぁぁぁあああ!!!!」

「——余計なことをするな人間。やっと人間を4人食えるところだったのにな…」




声は明らかに先ほどの少女で、あまりの痛さからなのか目尻から涙が溢れる。



——気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い…




図書室で見た"あの光景"が蘇って、胃の中から色んなものが逆流しそうだ。——絞め殺される。



そう思った。




「…な、何でっ…!!」


「だが、お前は"強力な妖力"の香りがする…。これで少しは生まれ持つ"霊力"を掻き消すだろうな」



黄色の瞳を細める大蛇は舌をチロチロと出しながら、軽く龍星を味見するのだ。




「ひ、ヒイィィィ——!!」

「…ほぉ、美味。とても美味じゃ…」




背中がザワリとし、本格的に恐怖で目の前がチカチカとした瞬間!!









「——《万華鏡・地獄咲き》!!」

「御意、若!!」

「千影、援護に回れ!!」



俺の体から蛇の尾が離れて行った…。



(……誰だ、あの赤い着物のやつ…)


 
< 128 / 401 >

この作品をシェア

pagetop