魑魅魍魎の菊

悪の了見




「あの下衆女ァァ!!!」


《鏡の付喪神・鏡子》は叫びながら、菊花を睨むのだ。まるで憎悪すら含まれているように。




「また懲りずにその技使っているわけ、"鏡子"ちゃん?」

「貴様が私の名を呼ぶな下衆女!!!」

「おやおや、これはどうやら嫌われたようだね」



首を小さく竦める菊花はあくびれた様子など一つもない。…そして、膝を組みながら下の様子を面白そうに見下ろす。



「鏡子、精神を乱すな!!」

「解りました若!」



月は現れ、どっちの時間を醸し出すのか。——力を持つのは誰かな?




「玖珂……。あの女、学校で猫みたいな奴消してたぞ」

「それは本当か萩谷?!」

「あぁ…忘れもしねぇ…。何より、あの地味さ加減がアイツしか当てはまらない」

「それは確固たる証拠だ!」





「ちょっとォ!!??私別に地味キャラ目指してないよ?!」


時計の上から叫ぶ菊花。別にぱっとしない顔でも生きて行けるし?!




公園の真ん中で悶えて暴れる蛇を玖珂の若頭は冷ややかに見つめている。そしてその首筋を噛んでいる千影、溢れる血がなんともいえないのだ。





「——"玖珂の若頭"、幼気な蛇の女の子を滅するのが貴方のお仕事?」

「一体何を企んでいるかって聞いてるんだよ、この地味!!」


「私には高村菊花っつう名前があるって言ったでしょう?!」




——だけど、あんまり関心しないわね玖珂君。菊花は時計の上から飛び降りながら抜刀するのだ。




「我が名は高村菊花。……この地に溢れる怨霊よ、暴れるが良い」



菊花の背後の空間からまたもや夥しい数の黒いオーラ、黒い魂が出現するのだ。——悲しい人間の末路よ、喰らいかかれ光を持つ人間に!!!



 
< 130 / 401 >

この作品をシェア

pagetop