魑魅魍魎の菊



「な、ななな、何だよアレ?!」


萩谷は叫びながら高村の背後を指差す。——ていうか、あいつから聞こえる鈴の音が煩わしい!!




「萩谷!!ちょっと、黙ってろ?!お前、一応不良だろうが!」

「んなの関係ネェよ!あんな非現実的なもんを受け入れる方が大変だっつうの!!」



菊花は笑いながら、力を増幅させて悪霊たちを正影たちに襲わせる。——これぐらいやらないと面白くないでしょう?



「《不死鳥》、その力を解放せよ!」



正影の刀は炎すら帯びて、一気に悪霊たちを薙ぎ払うのだ。そして、いとも簡単に悪霊を滅する——



「テメェの力はそんなもんか!」

「ただの時間稼ぎに決まってるじゃん?」




「何っ——」





菊花は自分の刀を——"亜空間"の結界に突き刺した。そこから流れ出す妖力に空間が堪えきれないのかミシミシっと音を立てる。


聞き間違いだと信じたいが千影の呻き声すら聞こえてくるのだ。




「——THE END」


そして、鏡子の叫び声すら聞こえて。俺と鏡子の「亜空間」が音を立てて崩れ去った。



正影は自分の喉が急激に乾くのを感じた。





「なんか解らネェけど、アイツぶっ飛ばせは良いんだな!」


龍星は叫びながら、一気に駆け出して菊花に入り身をするのだ。そして空手の突きの技をするが菊花は平然と避ける。


——妖力によって伸びた"髪"がサラリと宙を舞う姿に少しだけでも見惚れた正影は何度自分を殴り飛ばしたかったことか。


 
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