魑魅魍魎の菊


「チッ——霊能力者なわけ?」

「んだよ地味女!!」



龍星は一発だけ菊花の腹にパンチを決めるが、菊花も応戦して溝の辺りに蹴りを入れ込む。



「地味で悪いかコノヤロー!」



そして、龍星は軽く唇を噛むが…菊花にエルボーを喰らわそうとするが素早く避けられてしまうのだ。

…あろうことか、宙高く舞うから困ったもんだよ。




「俺もいるぞ!!」

その上から正影が刀を振り下ろすが、素早く抜刀する菊花はその刀を受け止める。

"神の生気"、全くつまらないものを私に流し込もうとするわね。…それに対抗としたようと瞬間、







「へっ——」





鈍い痛みが左肩を襲った。

全く持って、面白く無い。また——同じ所を噛んでくるわね、狐風情が。




「儂も居る事は忘れるなよ」


無理矢理体に流し込まれる「神の力」と「天狐」の精力に目の前がチカチカと光り出し…



(やっと、傷治りかけだったのに…)



天狐様の体重を間一髪で刀を地面に突き刺して、熱い血が流れ出すのを感じる。

深く牙が突き刺さる、痛い痛い…チカチカと目の前が歪むのだ。前と同じ失態だけは犯さないわよ私は…



菊花は大蛇から伸びる影に——"妖力"を注ぎ込む。




そして、自分の体の限界か来たのか菊花は前のめりに倒れる。——あなたはお腹が空いていただけなのにね。



ただ、それだけなのに——



 
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