魑魅魍魎の菊



《玖珂 市太郎》さんはシステムエンジアをなさっているらしくて、殆ど陰陽師の仕事が副業らしいですね。


優れた陰陽師だと有名で…それに加え、麗しい容姿も噂で聞いていたが本当だった。とある和室に入り、用意された布団の上に寝かせられる蛇さんと玖珂君。



……玖珂さんはスーツから私服に着替えたいために現在は萩谷君と私の二人きっりになる。…この人は一年で有名な不良さんだとまたもや栄子に聞いたのだ。



痛んでいるはずなのに気持ちよさそうな金髪…。しかも身長が大きいから、大きなワンコみたいです。




「えっと…。図書室で会ったかもしれないけど、高村菊花ですどうも…」

「っ!!??」



強面な顔が余計に強ばっているのは分かっている。普通の人間なら、私から発されるオーラを受ければ気分が悪くのは理解している。


…そして、それが霊能力者や「目に見えないもの」が見えるならより敏感に感じるはずだ。



私は動く右手で玖珂君の着物を脱がせて、裸体をはだけさせる。…均一な筋肉はとても綺麗で鎌鼬の傷もあんまり癒えていないようだ。



蛇の子は…


私が妖力を流し込まなかったら完璧に滅されていたわ。今も苦しいのか呻いている。





「……アンタ、一体何者なんだよっ…」

「私は魑魅魍魎の主」



その言葉の意味を理解しているのか、また息を大きく飲む。私の力は人間を傷つけることしか出来ないの。



その意味を分かっているなら、随分と頭の回転が速い青年だと伺える。




「別にここで貴方を殺そうとか思っていない。…ましてや善良な一般市民を殺めたりしないわ」



そうこうしていると、襖が開いて玖珂さんが現れたのだ。


 



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