魑魅魍魎の菊


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話が片付いた所で萩谷君と春菜さんは玖珂君の様子を見に行くということで席を外した。


私は蛇の子を体に巻き付けて、再び玖珂さんと対峙する。





「——勘のよろしい玖珂さんなら、最早検討はついているでしょう」

「……時々、手広くやっている自分が憎らしいよ」



打って変わって真剣な表情は、やっぱり玖珂君にそっくりだった。

「……"奴ら"裏でそんな事をしているのか」

「えぇ」

「高村さんも……"経済力"だけの理由でそんな血塗れたこと、しないでしょう」

「ですが…鏡の付喪神の場合。由緒正しき玖珂家から《主人殺し》など出てしまえば前代未聞。




貴方が揉み消すのにも限度があるかと」


菊花の顔つきも"頭"になり、真剣そのものになる。


「ハハッ…。そう言われたらそうかもしれないけど。鏡子もウチの家族だ、——今度指令でもウチの者に手を出すようなら容赦しないよ、








《妖怪風情》が——」



フフっと妖艶に笑いながらお茶を飲む。…どうやら先日の百鬼夜行と玖珂君を刺したこと、相当憤怒しているようだ。



「…以後、気をつけますよ。玖珂の御当主にウチの者を滅されても困りますからね」


菊花は苦笑の笑みを零しながら立ち上がって、襖を開ける。




(玖珂君——盗み聞きはよろしくないよ)


 
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