魑魅魍魎の菊




「玖珂春菜、現在大学2年生です!うわ…本物の烏天狗初めて見ました!漆黒の羽根、なんて麗しいの〜!良いなー菊花ちゃん、こんなに良い男と〜」


春菜さんはキャーキャー言いながら鴉丸の羽根を触って、顔を赤らめている…。あ、あの…天狐の殺気みたいな冷ややかなオーラを感じるのですが…



「私は菊花様の側近の烏天狗・鴉丸と申します」

「それでは春菜さん。これで失礼しますね」

「うん!またいつでも遊びに来てね〜♪」



蛇さんと二人で手を振るように(?)して私達は鴉丸に掴まって、空を高く飛んだ。

舞落ちる月光と黒い羽根…——それと悲しみ。



「…菊花様、また無茶をなさったのですか…。肩を…」

「あ、アハハ〜。説教なら家でちゃんと聞くから今は許してよ…」


鴉丸の説教長いんだからさ…。いつもリチャードとライアンに仲裁入ってもらわないと夜明けになるぐらい長いのよ。




「所でこの蛇のお嬢さんは?」

「前に離した沼御前の娘さんよ。——酷い怪我だから、後で薬を用意お願いね」

「畏まりました。——で、菊花様……今度の百鬼夜行はどうなさります?」



私はきっと苦虫を潰したような顔になっているだろう。玖珂のテリトリーでやるとまた…御当主の逆襲が恐いからな…。


力の差を見せつけられて、こっちに勝算があるかどうかだよね……。



 
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