魑魅魍魎の菊






「高村はドッヂボールに出るのか?」

セミロングの髪をポニーテールにしている時に隣の植木君に話しかけられた。

「うんそうだよー。そういう植木君はソフトなんでしょう?頑張ってねっ!」




「お、おぉ…!が、頑張るぞ!」


いやー…。何か頬を赤らめて照れている植木君も素敵だよ。今、このクラスの全体の心がガッチリと手を結んだ瞬間だってば。


「俺も頑張って高村の応援するよ」

「本当?嬉しいな〜植木君に応援されたら百人力だってば」


薄く笑いながら、私はライアンから貰った和柄のゴムで髪を縛る。よしっ、こんなもんで良いかな?


と、その時。またもや私と植木君の目の前に現れた刑部君。彼もソフトであろうね。


「つーか俺は卓球かと思っていたぜ高村」

「…な、何よ…」



「いや、なんか"地味"なスポーツだから」



——カチンッ



「ちょっとォ!!卓球頑張っている世界の皆さんにジャンピング土下座しなさいよ刑部君!」

「何故ジャンピング?!何気ハードな要求だな…」


そしたら、栄子と利枝も笑いながらこちらに来た。お前等も私のこと地味って言いたいんだろう?!



「菊花…アンタ地味キャラなんだから諦めなさい。足掻いても無駄、これは運命よ」

「利枝サン?!私のデスティニー全否定ですか!」

「そうだよ菊花ー。菊花のキャラ定ってもいないし、影薄いし…」

「ぐっ…!」


否定出来ない自分が居るんだけど!!
確かに影薄いわよ!先生にだって出席取られているときも「あ…高村は居ない」と勝手に欠席になっていることだってあるわよ!



(何でだろう…涙が出ちゃう)

 
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