魑魅魍魎の菊


「"玖珂っち"って言うなっつうんだよ!!」

「あっ、加藤じゃん。学校来てたんだ」

「加藤さんだ!雛先輩ストーカーしに来たの?」



全員思い思いの言葉を発していたが、一番常識人だったのは龍星だった。



「ちょっと菊花ちゃん?!俺はそんな犯罪めいたことしないって前から言ってるよね?!護衛だよ護衛だよ!」

「えぇー幽霊になっちゃったら、何かリセットされるじゃん」

「そんなの一切されないよ!それ一番知ってるの菊花ちゃんじゃん!」


何故か雛先輩の事件(?)以降から加藤さんから「菊花ちゃん」と親しみを込められながら呼ばれるのだ。


確かに死んでも恨みとか未練残るからリセットなんてされないんだけどね…。



「さっき体育館に行くの見たな…。何に出るんだ?」

「さぁー私知らない」


萩谷君と視線を交わして互いに首を傾げさせていると…







「バスケだってよ」

携帯電話を開きながら何故か玖珂君が答えていた。


「なななな、何で玖珂っちが知ってるの?!」

「いや…。加藤の事件後に小泉先輩からまた呼び出しがあってな、"友達からでも良いんでメアド交換して下さい"って言われたもんでね」

「だだだ、だから交換したの?!そんなの俺知らないよー!」

「そりゃ初めて言ったからな。断る理由ネェし」


加藤さんは駄々っ子みたいに暴れているがスルーだ。




「……何か不憫だな加藤」

「仕方無いよ、元は玖珂君のことが好きだったんだからさ」

「さすが良い男はモテるな…」




「萩谷君も充分モテてるからね(男子からも)」


私が真面目な顔をすればクエスチョンマークを浮かべながら首を傾げている萩谷君が居ましたとさ。


 
< 173 / 401 >

この作品をシェア

pagetop