魑魅魍魎の菊



「ていうか、何で俺等口寄せされたわけ?」

「おめー、幽霊か」



「張り倒すぞゴラァアア!」



三人と一匹(?)はそれぞれに食べ物を携えて、縁日を練り歩いている。

「何だか…神社とか玖珂くんって…"物の怪"関係だとしか思えないよ」

案外失礼だぞ井上よ。そして、綿飴がラブリーアイテムになっていて周りのお姉さん達にキャーキャー言われているな…



(美鈴ちゃんは人攫いに遭いそうだが…萩原とちゃんと手を繋いでいるか)




「——冗談はここまでにしてだ。お前等に手伝ってもらいたい事があんだよ」
















切り引き裂かれた闇が渦巻く、そして月が妖しくて人すら壊してしまいそうだ。

正影達が足を運ばせた場所は——





夥しい数の蝶と蛍が舞っていた。そして、月光のお陰かその蝶「アオスジアゲハ」の羽根を幻想的に反射させる。




「やぁ、久しぶりですね。——《玖珂の若頭》」



蝶の面を被った、心地良いアルトの声が聞こえた。ここは神社の裏庭で「その人」は自分を狙って下さいと言っているように、悠々とそこに座っているだけだった。

背後で萩原達の息を呑む声が聞こえる。



(…その余裕が裏目に出るぞ、大槻)


 
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